会津と地震と原発と - くうのむあそぶ

今回のＧＷ、実は福島でボランティアをしようかとも思った私ですが、皆さんご存じの通り結局はキャンプ。
でもそんななかから見えてきた被災地以外の福島と私が思ったことをお伝えできればと思います。

＊南会津・湯ノ花温泉で＊
毎年お邪魔しているお宿にチェックインするとお宿の若奥さんが
「ブログを見てガイガーカウンターを待っていたんです～＾＾
　お宿の中とか畑とかはかってください♪」
と待ちかまえていました。
一緒に畑へ行って測りましたが針はほとんど振れず。
ほっと一安心のようでした。

小学校６年生のお兄ちゃんと２才のお嬢ちゃんのママとして、
そして福島県民として彼女には思うところがたくさんあるらしくいろいろとおしゃべりしました。

南会津は大きな浮島のような岩盤の上にあるらしく、今回の地震でも酒屋の瓶が一本も落ちない程度の揺れ。
震災直後から県からの要請で地区ごとに被災地に送るおむすびを炊き出しをしていたそうです。
午前と午後、炊飯器を持って役場に歩いて行っておむすびを３０００個。
それが４月のはじめまで毎日続いたそうです。
ガソリン不足から、支援物資を運ぶにも炊き出しをするにしても車が使えず、
高齢者には大変な作業だったそうです。
むろん湯ノ花温泉にも原発近くの街から避難していらっしゃっている方がいるとのこと。

お宿自体は口コミと常連で成り立っているので、そう風評被害もなく、
逆に心配したお客さんが普段と変わりなく宿泊してくれているので影響は小さいようです。
でも南会津全体を見れば、初夏にかけてやってくる団体客はほぼキャンセル。
大きなホテルや旅館では従業員が自宅待機となっているところも多いそうです。
被災者の受け入れをして何とかやっているところもあるとか。

そして彼女が一番心を痛めていたのは人に対する風評被害というか『差別』。
福島の小学生の修学旅行先は東京か仙台。
この地震で仙台には行くことができなくなり、新たに東京に宿を探しても
「福島からは・・・」と断られているとか(TдT)！
なんでそんなことに！
「原発も収束のめどが立ちませんし、きたくない人に福島にきてくださいとはいえません。
　でも、こちらから行くのまで、拒否しないでほしいんです。」
彼女は悲しそうにそう言いました。
福島からの転校生に「放射能がうつる！」といった小学生がいたと報じられましたが、
これだって同じことですよね？？
知識のない子どもならまだしも、ホテルが拒否ってどういうこと？？
あまりのことに言葉がありませんでした。

＊会津若松・酒のトーヨコで＊
いつもキャンプのたびにお邪魔している酒屋さん。
日本酒が美味しいと思えるようになったのはおじさんが勧めてくれたお酒のおかげ。
おじさんはとても疲れた顔をしていました。
「がんばらなくっちゃと気をはっていたのがここでなんだか疲れが出ちゃって･･･。」
会津若松は多くの被災者が避難してきており、お店のお客も避難者が大半を占めているそうです。
この震災でみんなが東北の日本酒を買うので、今東北のお酒はバブル期を迎えているとのこと。
普段から小さな蔵を大切に育ててきたおじさんは、
日本中が東北のお酒を買ってくれるのは嬉しい反面、
そのほかの地域の蔵元が苦しい思いをしているのではないかととても心配していました。
おじさん、夏休みにまた顔を出しますよ～＾＾

＊喜多方・熱塩温泉下湯で＊
温泉街の入口の大きな旅館にはいわきナンバーの車がずらり。
きっと避難者を受け入れているのでしょう。
温泉でのんびりと地元のおばあちゃんたちとおしゃべり。
東京のラーメン屋さんで福島から来たと言ったとたん早く店を出てくれといわれた方がいるとか。
なんて不人情な!
熱い湯船の中で、怒りを煮えたぎらせてしまいました。
おばあちゃんは、「そんなふうに福島が嫌われているんだねぇ。」とさみしそう。
「私は福島大好きだし、ここのお湯も大好きですよ～。」と伝えていろいろとお話ししました。
この日喜多方でもほうれん草は出荷停止になったそうですが、
「どうせ他の野菜も出荷しても東京じゃかってもらえんしね。
　なんのための原発だか･･･。」
ため息混じりの言葉に返す言葉がありませんでした。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

私にできるのはこうやって伝えることだけ。
風評被害が人を傷つけていっていることを伝えずにはいられません。
放射能・放射性物質・放射線、目に見えないものだけになんともとらえにくいもの。
だからこそ風評被害も起こる。
私も文系人間なのでいまいち理解しきれているとはいいがたいので、
間違っていたらその旨指摘していただけるとありがたいです。

放射能は放射性物質が放射線を出す能力で、その大きさはベクレルで表される。
あえていうなら放射性物質が太陽、放射能は太陽の光を出す能力、放射線は紫外線。
紫外線を大量に浴びれば日焼けをし、皮膚ガンになるリスクが高くなる。
大量に浴びないにこしたことはない。
放射線もそういうものだと私は理解している。

放射線は医療にも使われている。
ガン治療でも放射線治療はおなじみだ。
むろん治療のために納得して受ける放射線と
今回のような事故により不本意ながら浴びる放射線を同じ次元で語るのは福島の方には申し訳ない。
でも、放射線治療を受けた人に「うつるから来ないでくれ！」というだろうか？
そもそも、放射線はうつるたぐいのものではないのに･･･。

「いや、放射性物質がついているかもしれないじゃないか！？」
そう思われる方もいるかもしれない。
立ち入り禁止地域ならいざ知らず、それ以外の地域では放射性物質は粉塵の形をとって風に舞っている。
そんな小さなものはシャワーを浴びたり、はたいたりすることで落ちてしまうものではないのか？

それでなくても辛い思いをしている福島の人たち。
福島の原発がなんのために作られたのか、なぜ東北電力ではなく東京電力なのか。
首都圏にいる私たちは申し訳ないと思うべきであって、
理由のない差別など言語道断ではなかろうか。